広告・クリエイティブ
クリニック広告の始め方|媒体を選ぶ前に揃える条件
院内で「そろそろ広告を出してみようか」という話になり、代理店から検索広告やSNS広告の提案書が届いたものの、どれが自院に合うのか比べる手がかりがない。そんな場面で手が止まってしまうのは、決して珍しいことではありません。
まだ広告媒体を決めていない段階なら、まず「誰に、何を伝えたいか」を言葉にするところから始めましょう。この記事では、媒体を選ぶ前に院内で揃える条件を扱います。配信後の費用や数字の改善、代行会社への引継ぎは、それぞれの関連記事で次の段階として確認できます。
媒体を選ぶ前に、目的・対象・受け皿・計測・判断担当の5つを院内で決めておくことをおすすめします。この5つが決まっていれば、提案を自院の物差しで比べられますし、出稿後も「続けるか、直すか」を落ち着いて判断できます。ここでは5つの決め方、仮の記入例、始めてよいかを確かめる表を順に見ていきます。
この記事の内容
どの媒体がいいか、先に決められないのはなぜ?
検索広告、SNS広告、地図検索、紙媒体。どれが合うかは、診療内容や来てほしい患者さん、予約の受け方によって変わります。どれか一つが常に優れているとは言えません。
提案書から検討を始めると、提案ごとに比べる基準が変わってしまいます。すると配信後に「何をもって成果とするか」もはっきりしません。つまずきやすいのは、たとえば次のような状態です。
- 予約ページや電話の案内を直さないまま出稿している
- 電話で入った予約を記録していない
- 停止や変更を誰が決めるのか決まっていない
どれも、媒体を選ぶ前に院内で話し合っておける事柄です。
図で整理:実行する3つのステップ
- 目的と対象を決める
増やしたい予約や認知を一文で定め、新患住所を個人が分からない形で集計し、診療形態とあわせて対象と地域を整理する
- 受け皿と計測を整える
予約ページの必要情報と受付枠をスマホで確認し、Web予約・電話を成果として設定して、予約の記録に「何で知ったか」と来院有無を書く
- 判断担当と開始条件を確認する
集計・表現確認・最終判断の担当と見直し頻度を決め、判断表で出稿を始めるか待つかを確かめる
媒体の前に決めておきたい5つの条件
1. 目的:何を増やしたいのか
特定の診療の新患予約なのか、検診の申込みなのか、開業や移転を知ってもらうことなのかを一文で書いてみましょう。目的が複数あるときは、広告ごとに一つに絞ります。
2. 対象:誰に来てほしいのか
来院してほしい人の症状や関心、通院できる地域、保険診療か自由診療かで整理します。地域は、新患の住所を個人が分からない形で数え、来院の多いエリアから決めると、あとで理由を説明しやすくなります。
3. 受け皿:広告を見た人が移る先は整っているか
受け皿とは、広告を見た人がたどり着く予約ページや電話窓口のことです。スマートフォンで開いて、診療時間と休診日、アクセス、自由診療なら費用の条件、電話とWeb予約の入口がすぐ見つかるかを確かめてみてください。増えた予約を受けられる枠と受付の人手があるかも大切です。
広告文やページの表現は、厚生労働省が公開している医療広告ガイドラインなどの一次資料で、出稿前に確認が必要です。迷う表現は、確認が済むまで使わずにおくのが安全です。 厚生労働省の医療広告に関する公式資料はこちらから確認できます。
4. 計測:何を成果として数えるか
Google広告の公式ヘルプでは、購入や登録、電話問い合わせなど価値があると判断した目標を「コンバージョン(成果として数える行動)」に設定できると案内されています。電話は、広告からの直接の発信、サイトに載せた番号への電話、モバイルサイトでの番号タップが測定の対象として示されています(Google広告ヘルプ「コンバージョン測定について」)。
ただ、管理画面の数字と実際の来院は一致しないことがあります。そこで、予約を記録している表に「何で知ったか」の欄を一つ足し、来院したかどうかと並べて見る方法をおすすめします。患者さんの個人情報は広告側へ送りません。
5. 判断担当:誰が決めるのか
「数字を集める人」「表現を確認する人」「停止・増額・修正を決める人」の3つに、それぞれ名前を入れます。外部に委託しても、最終的に決める人は院内に残しておきましょう。
見直す頻度も一緒に決めます。同じヘルプでは、自動入札には標準で7〜14日の学習期間があり、その間は予算や目標を頻繁に変えないよう案内されています。この点も踏まえて間隔を決めると安心です。
記入例でイメージをつかむ
架空の内科クリニックを想定した仮の記入例です。実績の数値ではありません。
| 条件 | 記入例(仮) | 確認する人 |
|---|---|---|
| 目的 | 平日午前の一般内科の初診予約を増やす | 院長 |
| 対象 | 新患住所の集計で来院が多い市区内、症状名で探す人 | 事務長 |
| 受け皿 | 診療時間・地図・電話/Web予約ボタンをスマホで確認、受付できる枠を週ごとに把握 | 受付リーダー |
| 計測 | Web予約完了と電話を成果に設定、予約の記録に「何で知ったか」と来院有無を書く | 運用担当 |
| 判断担当 | 運用担当が週1回集計し、月1回院長が継続・修正を決める | 院長 |
出稿を始めてよいか、いまの状態で確かめる
5つを書き終えたら、次の表で今の状態を見てみましょう。
| いまの状態 | おすすめの進め方 |
|---|---|
| 5条件すべてに記入があり、担当者名も入っている | 出稿の準備に進む |
| 電話の記録方法が決まっていない | 計測を整えるまで開始を待つ |
| 予約枠や受付の人手に余裕がない | 配信量より先に受付体制を調整する |
| 表現の確認が済んでいない | 一次資料で確認するまで該当表現を使わない |
| 目的が複数混ざっている | 広告ごとに目的を一つに分ける |
今日できる一歩と、次に読みたいコラム
まずは「目的」を一文だけ書き、院長と事務長で見比べるところから始めてみませんか。そこが揃うと、残りの4つも話し合いやすくなります。
条件が揃ったら、次に気になるのは「月にいくらまで使えるか」だと思います。予約単価と来院単価の違いや受付できる枠を含めた考え方は、クリニックの検索広告費|許容CPAと予算の考え方で説明しています。配信後に「費用は増えたのに予約が増えない」と感じたときは、検索語句とページの食い違いを探す美容クリニックの検索広告|検索語句とLPのずれを直すが手がかりになります。
当社のクリニック向け広告運用代行では、美容医療・保険診療の特性を踏まえ、媒体選定、広告、LP、LINE、計測までを一貫して設計し、予約・来院・売上を基準にしたレポーティングも行っています。5つの条件のうち整理しきれない部分があれば、その段階からエッセンスクライアントへご相談ください。
参照資料・本文の確認日:2026年10月11日