広告・クリエイティブ
クリニックの広告運用|予約CPAと来院CPAを照合する
月末に広告の管理画面を開くと「コンバージョン30件」と出ているのに、受付の予約表を数えると予約は24件しかない。院長への報告でどちらの数字を使えばいいのか、手が止まってしまうことがあります。
この差は、どちらかが間違っているとは限りません。数える日付や「何を1件とするか」が、管理画面と予約表で違うことが多いからです。まず期間と数え方をそろえます。次に広告の種類ごとに件数を並べ、差の理由を「計測」「数え方」「受付」の3つに分けてメモします。そのうえで予約CPA(広告費÷予約数)と来院CPA(広告費÷来院数)を同じ表に並べると、運用の判断にどちらの数字を使えるかが見えてきます。
この記事は、配信中の広告を担当している方に向けた内容です。患者さんの氏名や連絡先を広告媒体へ送る方法は扱いません。予約表からは件数だけを使います。
この記事の内容
管理画面と予約表の数字がずれるのはなぜか
Googleのヘルプ「コンバージョン測定について」では、計測する対象にウェブサイト、通話、オフラインなど複数の種類があると説明されています。同じページには、通話コンバージョンは広告のクリック日にひもづくこと、広告をクリックしたのとは別のデバイスやブラウザで至った件数は[すべてのコンバージョン]列で確認できること、通話を正しく記録するには通話レポートの有効化などの設定が必要なことも書かれています。
この説明をもとに、ずれの理由を編集部で3つに整理しました。
1つ目は日付です。たとえば9月30日に広告をクリックし、翌日に予約の電話をかけた人は、管理画面では9月、予約を受けた日で記録する予約表では10月に入ることがあります。月末前後の件数は、ここでずれやすくなります。
2つ目は数える範囲です。どの列の数字を見ているのか、電話番号をタップしただけなのか実際に通話したのか、予約完了ページが二重に数えられていないか。この違いだけで件数は変わります。
3つ目は受付側の記録です。電話やLINEの予約で「どこで知ったか」を聞けていない、初診と再診が混ざっている、キャンセルした予約を消している。こうした揺れがあると、予約表の数字も動きます。
図で整理:実行する3つのステップ
- 期間と数え方をそろえる
対象期間、日付の基準(予約を受けた日か来院日か)、予約と来院の数え方を比べる表の上部に書いておく
- 広告の種類ごとに件数を並べる
管理画面の媒体別CV数と、予約表の経路・流入元別の予約数・来院数・キャンセル数を同じ期間で件数だけ数える
- 差の理由を3つに分けてメモする
差を計測・数え方・受付に分け、確かめたこと・対応・次に見直す日を残す。わからない差は「不明」とし推測で埋めない
数字をそろえて比べる3つの手順
1. 期間と数え方を表の一番上に書く
対象期間と、日付を「予約を受けた日」と「来院日」のどちらで数えるかを決め、比べる表の上部に書いておきます。「予約は初診だけを数えるか」「来院は当日の受付で確認できた人だけか」も一緒に書いておくと、翌月に見返したときに迷いません。院内で言葉の意味そのものをそろえる作業は、クリニック集客の数字|検索・予約・来院の定義を揃えるで扱っています。
2. 広告の種類ごとに件数を並べる
管理画面からは、媒体・キャンペーン別のCV数を書き出します。予約表からは同じ期間で、電話・Web・LINEといった経路と、どこで知ったか(流入元)ごとに、予約数・来院数・キャンセル数を数えます。流入元は、受付で「どちらでお知りになりましたか」と伺った回答や、リンクに付けたUTMパラメータ(URLの末尾に付けて流入元を見分ける目印)で判別します。表には件数だけを書き、個人がわかる情報は載せません。
3. 差の理由を3つに分けてメモする
差が出たら「計測」「数え方」「受付」のどれにあたるかを書き、確かめたこと、対応、次に見直す日を残します。理由がわからない差は「不明」と書いておくことをおすすめします。推測で埋めてしまうと、翌月に同じ差が出たときに原因を追えなくなるからです。
記入例で見る、予約CPAと来院CPAの違い
以下の数値はすべて説明用の仮の例です。実績や目安ではありません。
| 媒体 | 広告費 | 管理画面CV | 予約表の予約 | 予約表の来院 | 予約CPA | 来院CPA | 差の分類とメモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 検索広告 | 100,000円 | 30(Web20・電話タップ10) | 24(Web18・電話6) | 19 | 約4,167円 | 約5,263円 | 計測:電話タップ10件に対し電話予約は6件。予約に至らなかった通話を含む可能性があり、通話の計測設定を確かめる |
| SNS広告 | 60,000円 | 12 | 8 | 5 | 7,500円 | 12,000円 | 受付:LINE予約3件で流入元が未記入。受付で聞き取る欄を追加する |
この仮の例では、予約CPAで比べるとSNS広告は検索広告の約1.8倍ですが、来院CPAでは約2.3倍に開きます。予約数だけで判断せず、来院まで並べて見る理由はここにあります。
差が出たとき、どこから確かめればいいか
差の出方によって、最初に見る場所が変わります。
- 管理画面CVが予約より多い:CVの設定、見ている列、二重計上を確かめ、翌月にもう一度比べます。判断には予約表の数も添えます。
- 予約が管理画面CVより多い:電話・LINEが計測されているか、受付で経路を記録できているかを見ます。計測していない経路を加えるか、受付で流入元を聞くようにします。
- 予約数は合うのに来院が少ない:キャンセルや無断キャンセル、予約枠を見ます。媒体ではなく、受付や案内の課題としてメモします。
- 月をまたいで差が出る:日付の基準の違いが考えられるので、前後の月を合算して比べます。
差の理由を説明できないうちは、予算を大きく動かさないことをおすすめします。Googleも同じヘルプで、スマート自動入札(Googleが入札額を自動で調整する仕組み)には標準で7〜14日間の学習期間があり、その間は予算や目標を頻繁に変えないよう案内しています。設定を見直す時期は、比べた結果とあわせて決めると判断しやすくなります。
今日できる一歩
まずは先月分について、管理画面のCV数と予約表の予約数・来院数を、広告の種類ごとに1行ずつ書き出すところから始めてみましょう。差の理由がすぐに3つのどれかに当てはまらなくても、「不明」と書いておけば十分な出発点になります。
来院CPAが出たら、次はその金額を許容できるかを考える段階です。利益や受け入れられる予約枠から上限を決める考え方は、クリニックの検索広告費|許容CPAと予算の考え方で解説しています。
株式会社エッセンスクライアントでは、クリニック向け広告運用代行の一環として、予約・来院・売上を基準にしたレポーティングを支援しています。通話の計測設定や院内での数え方など、自分たちだけでは整理しきれない部分があれば、サービス一覧からご相談ください。
参照資料・本文の確認日:2026年10月11日