内製化・依頼先の選び方
クリニックのマーケティング会社選び|提案書を比べる評価表
複数の支援会社から提案書が届き、机に並べて読み比べている。どの会社も実績や強みが書かれていて、ページ数の多い会社のほうがしっかりして見える。けれど、本当にその差で選んでよいのか迷ってしまう。この記事は、そんな場面にいる院長や事務長に向けたものです。
おすすめしたいのは、会社の印象や実績紹介で決める前に、「担当体制」「対象成果」「計測定義」「引継ぎ条件」の4項目を、各社同じ表に書き写して比べる方法です。提案書は会社ごとに書式も言葉づかいも違うため、そのまま読むと記載の多い会社が良く見えやすくなります。同じ枠に並べ直すと、書かれていないことが空欄として見えてきます。
これは良し悪しを決めつけるためではなく、条件の違いを整理するための比べ方です。以下で、表の作り方、商談での質問、院内で選ぶまでの進め方を順に見ていきます。
この記事の内容
比べる前に「この契約で動かしたい数字」を一つ決めておく
同じ「患者さんが増えない」という悩みでも、どこで止まっているかで合う提案は変わります。たとえば、検索結果や地図で見つけてもらえていない(認知)、サイトには来ているのに予約まで進まない(予約導線)、初診のあと続かない(再診)。どこが課題かによって、広告運用、サイト改善、LINEでのつながりづくりなど、見るべき提案の中身が違ってきます。
ここが曖昧なまま依頼すると、広告・制作・SNSが「一式」で提案され、あとから何が効いたのか分からない契約になりがちです。報告書が表示回数やフォロワー数の話ばかりで、本来知りたかった新患や予約の話にならない、というずれも起こります。
提案書を開く前に、院内で「今回動かしたい数字」を一つ決めておくと、表の「対象成果」の欄がぐっと埋めやすくなります。
図で整理:実行する3つのステップ
- 動かしたい数字を決める
認知・予約導線・再診のどこが課題かを院内のデータで見て、契約で動かす数字を一つ選ぶ
- 評価表に書き写す
担当体制・対象成果・計測定義・引継ぎ条件を各社同じ表に書き写し、記載のない欄は空欄で残す
- 質問で空欄を埋めてから比べる
商談で空欄を確認し、回答を書面で受け取ってから各社を比較する
提案書を4項目の評価表に書き写す
候補会社ごとに列を増やし、提案書に書かれていないことは推測で埋めず、空欄のまま残しておきましょう。その空欄が、商談で聞くことのリストになります。下の記入例はすべて仮の内容です。
| 評価項目 | 提案書で確認すること | 記入例(仮) | 見るポイント |
|---|---|---|---|
| 担当体制 | 実際に運用する人、商談担当との違い、院内との連絡窓口、打合せの頻度 | 運用は別担当。月1回の定例あり | 運用する人と連絡経路が名前・役割で書かれているか |
| 対象成果 | 契約で動かす数字、対象とする診療・期間 | Web予約数(初診)を主な指標とする | 院内で決めた数字と一致しているか |
| 計測定義 | 何を成果として数えるか、院内の予約記録とどう突き合わせるか、報告の形式 | 予約完了ページへの到達を計測。電話予約は別に集計 | 数え方と、数えないものが書かれているか |
| 引継ぎ条件 | 広告アカウント・ドメイン・制作データの名義、解約時に渡される範囲 | 広告アカウントは院名義で開設 | 解約時に何が院内に残るか書面で示されているか |
特に差が出やすいのが計測定義です。計測定義とは「何を成果として数えるか」の決め方のこと。Google広告の公式ヘルプでは、購入・登録・電話問い合わせなど、広告主が価値があると判断した行動をコンバージョン(成果として数える行動)として選び、ウェブサイト、通話、オフラインといったデータの出どころごとに測定する仕組みが説明されています(Google広告ヘルプ「コンバージョン測定について」)。つまり成果の数え方は設定次第で変わります。提案書の「予約数」が予約完了なのか、予約ページを見ただけなのか、電話番号のタップなのかを確かめないと、会社同士を同じ土俵で比べられません。
費用はこの表とは分けて扱うと整理しやすくなります。初期費用・月額・媒体費・制作範囲・解約条件などを見積書で揃える方法は、クリニック集客代行の費用比較|見積書で確認する7項目でまとめています。金額を「相場」ではなく内訳で比べたいときに、この記事と組み合わせて使ってみてください。
空欄は商談でそのまま聞いてみる
表に残った空欄は、商談で質問として投げかけてみましょう。たとえば次のような聞き方です。
- 担当体制:「実際に運用するのはどなたですか。商談担当の方と同じですか」
- 対象成果:「当院が決めた数字に対して、何をどの順に変える提案ですか」
- 計測定義:「レポートのサンプルを見せていただけますか。予約数はどの方法で数えていますか」
- 見直し:「想定どおりに進まない場合、何を基準に施策を見直しますか」
- 引継ぎ条件:「解約時、広告アカウントやサイトのデータはどう引き渡されますか」
ここで見たいのは答えの上手さより、具体的に答えられるか、書面で残してもらえるかです。レポートのサンプルからは、その会社が何を成果と考えているかも読み取れます。
また、医療機関の広告やサイトの表現については、提案会社の説明だけで判断しないことをおすすめします。表現をどんな工程で確認しているかを聞き、必要な部分は厚生労働省の公式資料を院側でも確認する前提にしておくと安心です。
院内で選ぶまでの3段階と、今日できること
- 動かしたい数字を決める:認知・予約導線・再診のどこが課題かを院内のデータで見て、契約で動かす数字を一つ選びます。
- 評価表に書き写す:各社の提案書から4項目を同じ表に書き写し、記載のない欄は空欄で残します。
- 質問で空欄を埋めてから比べる:商談で空欄を確認し、回答を書面で受け取ってから比較します。
選定と並行して、報告を誰が読み、誰が判断するかも決めておくと迷いが減ります。判断する人・作業する人・確認する人の分け方はクリニックのマーケティング体制|院内と外部の役割を決めるで整理しています。外部に任せる範囲を決める前に、院内側の役割が空いたままになっていないかを確かめるのに役立ちます。
今日できる一歩としては、手元の提案書を1社分だけ開き、4項目を書き写してみることから始めてみましょう。空欄がいくつ残るかを見るだけでも、次の商談で聞くことがはっきりします。
当社のクリニック向け広告運用代行では、公式サイトでご案内しているとおり、美容医療・保険診療の特性を踏まえた媒体選定・広告・LP・LINE・計測までの設計と、予約・来院・売上を基準にしたレポーティングを支援内容としています。課題の段階がまだ絞り切れない、表に書き写しても判断がつかない、という部分があれば、エッセンスクライアントへお気軽にご相談ください。
参照資料・本文の確認日:2026年10月11日