広告・クリエイティブ
医療マーケティングとは|情報提供と広告の役割を整理する
院内で「ホームページやSNSも見ておいてね」と任されたものの、どこからが広告なのか、誰に何を確認すればよいのか分からず、手が止まってしまう。この記事は、そんな場面にいる方を想定して書いています。
ここで整理するのは、患者さんが受診前に知りたい情報と、その案内を必要な人へ届ける広告の役割です。担当者の分担そのものは別の記事で扱います。まずは、一つの案内が「何を知ってもらうためのものか」を考えてみましょう。なお、ここでの役割分けは情報の伝え方を考えるための整理で、法律上の広告に当たるかを判定するものではありません。
医療マーケティングとは、受診先を探している人が自分に合う医療機関を選べるように、診療内容や受診方法などの情報を整理して届け、問い合わせや予約までの道筋を整える活動です。迷いをほどく近道は、「患者さんに向けた情報提供」と「広告として発信する表現」の二つに役割を分けて考えることです。分けてみると、誰が何を決めればよいのかが見えやすくなります。
ここでは用語・役割・責任の分け方という全体像に絞り、広告文の具体的な確かめ方や改善の進め方は、最後に紹介する別の記事にお任せします。
迷ったときは、まず次の3つを問いかけてみてください。
- 初めて来る方が受診方法を知るための案内ですか。それとも診療の特徴を知ってもらう案内ですか。
- その案内で伝えたい事実は、院内の誰に確認できますか。
- 読んだ方が次に知りたくなる内容へ、進めるようになっていますか。
この記事の内容
医療マーケティングでは何をするのか
使う場所は一般企業と大きく変わりません。検索、地図、SNS、広告、自院のサイト、LINEなどです。違うのは、発信する内容に医学的な正確さが求められることと、医療に関する広告には医療法などに基づく規制があることです。
作業は、おおむね次の四つに分けられます。
- 情報を整える:診療時間、対象となる診療、初診の流れ、費用の案内方法、アクセス、予約方法
- 出会う場所をつくる:検索、地図、SNS、広告など、受診先を探す人が情報に触れる場所
- 受け止める窓口:予約ページ、電話、LINEなど、問い合わせを受ける入口
- 数えて見直す:どの段階で迷いや離脱が起きているかを確かめ、次に何を更新するか決める
図で整理:実行する3つのステップ
- 読者の疑問を一つ選ぶ
公開している案内を一つ開き、受診前のどんな疑問に答えるかを一文で書く。
- 案内の中身と届け方を分ける
疑問に答える内容を用意し、そのページを見つけてもらう場所とリンクを確かめる。
- 事実と迷う表現を確かめる
院内で内容の事実を確認し、表現に迷った箇所は公式資料を読み、確認担当者に相談する。
「情報提供」と「広告」はどう違うのか
たとえば、休診日の変更をサイトの診療案内に載せるのは、受診前の行き違いを防ぐための情報提供です。一方、検索広告やチラシの文言は、情報を必要とする人に医療機関の存在を届ける広告の役割を持ちます。同じ「発信」でも、院内で決めることが変わります。
| 観点 | 情報提供の役割 | 広告の役割 |
|---|---|---|
| 目的 | 受診前の疑問に答え、比べて選ぶ材料を揃える | 必要とする人に存在と案内を届ける |
| 主な場 | 診療案内、よくある質問、院内掲示 | 検索広告、SNS広告、チラシ、看板 |
| 気をつけたい点 | 情報が古いと受診時の行き違いにつながる | 表現に迷ったら公式資料で確かめ、保留する |
この表は実務の分担を考えるために編集部がまとめたもので、法的な区分の根拠ではありません。自院サイトやSNSの投稿がどう扱われるかは、厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」にある医療広告等ガイドライン、そのQ&A、ウェブサイト等の事例解説書(第6版、令和8年3月30日の事務連絡)などで確かめる必要があります(確認日:2026年10月11日)。個別の表現の可否は、この記事の要約ではなく、これらの資料の該当箇所を見て判断しましょう。
患者さんの疑問から、案内の中身と届け方を考える
たとえば、初めて受診する方に「何を持って行けばいいのだろう」と思われているかもしれません。こうした疑問に答えるのが、案内の中身です。その案内をホームページのどこに置くか、検索やSNSからどう見つけてもらうかが、届け方です。まずは二つに分けて考えると、必要な作業が見えやすくなります。
次は、案内を考えるための記入例です。実際に載せる内容は、自院の診療や受付の状況に合わせて確かめてください。
| 受診前の疑問の例 | 先に用意したい案内 | その案内への行き先の例 |
|---|---|---|
| 初めてでも受診できる? | 受診できる診療内容、予約の要否、当日の持ち物 | 診療案内から初診の案内へリンクする |
| 費用はどこで確認できる? | 費用を確かめられるページや、個別に相談する窓口 | SNSのプロフィールから該当する案内へつなぐ |
| 予約はどう進めればいい? | 予約方法、変更・キャンセル時の連絡先 | 広告から来たページにも予約案内へのリンクを置く |
広告から多くの人に知ってもらうことを考える前に、たどり着いた先で疑問に答えられるかを見てみましょう。たとえば初診の案内がまだなければ、最初の作業は広告文を増やすことより、その案内を用意することかもしれません。これは改善の進め方の提案です。情報提供と呼んでいるページであっても、それだけで広告規制の対象外になるとは判断できません。表現に迷うときは、公式資料を確認し、院内の確認担当者に相談しましょう。
今日できる一歩と、次に読む記事
今日は、いま公開している案内を一つだけ開いてみてください。「初めて読む人の、どの疑問に答えているか」を一文で書いてみましょう。すぐに書けなければ、まずその疑問を一つ選ぶだけでも大丈夫です。
次に、その答えを置くページと、そこへ進むリンクを確かめます。載せる情報は院内で事実を確認し、表現に迷った箇所は厚生労働省の医療広告に関する公式資料も確認してください。
案内の目的が見えたあと、誰が作り誰が確認するかを決めたい方は、クリニックのマーケティング体制を整理する記事で分担を考えられます。広告文の確認を詳しく知りたい方には、医療広告の確認手順をまとめた記事もあります。
自院の案内を見ても、何から直せばよいか整理しきれないときは、エッセンスクライアントにご相談ください。いま伝えていることと、受診前に知ってほしいことを、一緒に整理するところからお手伝いします。
参照資料・本文の確認日:2026年10月11日